「材料費も人件費も上がっているのに、発注元に値上げを言い出せない…」 「下請けイジメのような値下げ要求に、我慢するしかないのか…」
大阪の中小企業経営者様、その我慢、実は「法律違反」の片棒を担いでいるかもしれません。
現在、政府はデフレ脱却のため、「価格転嫁(コスト増分の値上げ)」を強力に後押ししています。 そして、2024年秋に施行されたフリーランス保護法や、強化された下請法(取適法関連)により、「適正な価格交渉に応じない親事業者」は、公取委の指導対象となるリスクが高まっています。
今回は、これらの法律を武器にして「適正な利益」を確保し、さらに「補助金の審査でも有利になる」一石二鳥の戦略について解説します。
知らないとマズイ!「下請法」と「取適法」の現在地
2026年の今、発注側(親事業者)への監視の目はかつてないほど厳しくなっています。特に注意すべきは以下の2点です。
- 「買いたたき」の厳格化(下請法): 労務費や原材料費が上がっているのに、それを無視して「今まで通りの価格」で発注し続けることは、下請法違反(買いたたき)とみなされる可能性が高いです。
- フリーランス・個人事業主への保護(通称:取適法/フリーランス新法): 発注書を出さない、支払いを遅らせる、一方的に報酬を減額する。これらは、相手が個人事業主であっても明確な法律違反です。
つまり、受注側(下請け)は、「コストが上がったので協議したい」と申し入れる正当な権利を持っています。これを無視することは、発注側にとってもコンプライアンス上の大きなリスクなのです。
【裏技】「パートナーシップ構築宣言」が補助金のカギ
ここで重要なのが、「価格転嫁」と「補助金」の密接な関係です。
今、多くの大型補助金(ものづくり補助金、事業再構築補助金など)では、「パートナーシップ構築宣言」を行っている企業に審査での「加点」を与えています。
- パートナーシップ構築宣言とは? 「下請け企業と対等な関係を築き、適正な価格転嫁に応じます」と対外的に宣言する制度です。
つまり、発注側としては「値上げに応じること」が「自社の補助金採択に有利に働く」仕組みができているのです。 交渉の際は、単に「苦しいから上げて」ではなく、「御社もパートナーシップ構築宣言をしませんか?お互いにWin-Winですよ」と持ちかけるのが、賢い交渉術です。
行政書士が教える「失敗しない価格交渉」3つのステップ
いきなり「値上げしてください」と言っても、相手もビジネスです。感情論ではなく、「根拠」で動かしましょう。
- 原価の「見える化」: 何がいくら上がったのか?公的な統計データ(企業物価指数など)や、実際の仕入れ伝票を用いて、上昇分を数値化します。
- 交渉記録を残す: 法律では、協議を行った記録を残すことが重要視されます。「いつ、誰に、何を伝えたか」をメールや議事録で残しましょう。
- 契約書の巻き直し: 口約束はトラブルの元です。新しい単価で、しっかりと契約書(または発注書)を作り直します。
まとめ
「下請法」や「取適法」は、中小企業を縛るものではなく、「守るための武器」です。 そして、適正な利益を確保することは、次の「賃上げ」につながり、それが「補助金の要件クリア」へとつながります。