「就労ビザを持っている外国人派遣社員だから、どんな業務を任せても問題ないだろう」 本日より、その安易な認識は企業にとって**「致命的な法的リスク」**に変わります。
出入国在留管理庁は、本日・2026年(令和8年)3月9日申請分より、在留資格「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」の外国人を【派遣形態】で就労させる場合の審査ルールを大幅に厳格化しました。
今回の法改正における最大の衝撃は、派遣元(人材派遣会社)だけでなく、実際に現場で指揮命令を行う「派遣先(受け入れ企業)」に対しても、重い責任を伴う『誓約書』の提出が義務付けられたことです。
「派遣会社が全部やってくれるから大丈夫」は、もう通用しません。本日施行された新ルールの詳細と、企業が直ちに取るべき対策を、入管業務を専門とする行政書士が分かりやすく解説します。
なぜ今、派遣の審査が厳格化されたのか?
そもそもの背景には、高度な専門職であるはずの「技人国」ビザを持つ外国人が、派遣先においてビザで認められていない**「単純労働(工場のライン作業、飲食店のホール、ホテルのベッドメイクなど)」に従事させられているケースが横行**していたという根深い問題があります。
「派遣という見えにくい形態を隠れ蓑にして、単純労働者を供給しているのではないか?」 入管当局のこの強い疑念が、今回の「派遣元・派遣先への網の目(誓約書)」という形でルール化されました。
【重要】本日(3月9日)からの4つの重大変更点
具体的に何が変わったのか。以下の4点が本日から適用されます。
① 派遣元・派遣先「双方」の誓約書提出が必須に
ビザの認定・変更・更新のすべての手続きにおいて、派遣元と派遣先それぞれの「誓約書」の提出が必須となりました。 誓約書の内容は単なる確認ではなく、**「申請内容(専門的な業務内容)を正しく理解し、その業務にのみ従事させること」**を約束させるものです。派遣先は「とりあえずサインする」という感覚でハンコを押すと、後で取り返しのつかないことになります。
② 申請時点で派遣先が「未確定」だと不許可
これまでは「とりあえず派遣会社に就職(所属)する」という形でビザが下りるケースもありました。しかし今後は、**「申請の時点で、実際に働く派遣先が確定していること」**が絶対条件となります。派遣先が決まっていない待機状態での許可は下りなくなります。
③ 在留期間が「派遣契約期間」に連動する
許可される在留期間(1年、3年など)が、派遣元と派遣先とで結ばれる「労働者派遣個別契約」の期間に強く連動するようになります。短期の派遣契約であれば、それに合わせて短い在留期間しか付与されず、更新の手間とリスクが増大します。
④ 更新時の提出書類(台帳)の大幅増加
次回のビザ更新時には、「派遣元管理台帳」「派遣先管理台帳」「就業状況報告書」など、前回の許可から現在に至るまでの全期間分の就労実態を証明する書類の提出が求められます。ごまかしは一切通用しません。
虚偽が発覚した場合の「恐ろしいペナルティ」
誓約書には、「地方出入国在留管理局が行う事情聴取や実地調査に応じること」が明記されています。 もし、入管の抜き打ち調査等で「申請時はエンジニアとして申告していたのに、実際は現場の清掃や梱包だけをさせていた」といった虚偽や資格外活動が発覚した場合、どうなるでしょうか。
誓約違反とみなされ、当該外国人のビザが取り消されるだけでなく、**虚偽の誓約をした派遣先企業に対しても「今後、当該機関が関与する外国人の在留申請が許可されなくなる(=外国人の受け入れが一切できなくなる)」**という極めて重い連帯責任(ペナルティ)が課される可能性があります。不法就労助長罪に問われるリスクも跳ね上がります。
まとめ・CTA(企業が今すぐすべきこと)
結論:派遣先企業は、「自社で任せる業務」が技人国ビザに該当するか、自らの責任で確認しなければなりません。
本日3月9日以降、技人国の派遣社員を受け入れる(または契約更新する)企業様は、以下の行動を徹底してください。
- 業務内容の再点検: 現在派遣社員に任せている業務に、単純労働が混ざっていないか。
- 派遣会社との連携: 派遣会社が「大丈夫です」と言っても鵜呑みにせず、申請内容のコピーを必ず共有してもらい、自社の業務実態とズレがないか確認する。
- 誓約書の重みの周知: 現場の責任者に対し、「手が空いたからといって、専門外の単純作業を指示してはならない」ことを徹底する。
「自社で任せているこの業務は、技人国として認められるのだろうか?」 「今度新しく来る派遣社員のために誓約書にサインを求められたが、リスクはないか?」
少しでもご不安がある経営者様・人事担当者様は、誓約書にサインをする前に、必ず外部の専門家(行政書士)にご相談ください。 当事務所では、最新の入管法改正を踏まえた「業務の適法性診断」や、コンプライアンス遵守のためのアドバイスを行っております。御社を不測の法的リスクから守るため、ぜひ無料相談をご活用ください。