出入国在留管理庁(入管庁)が2026年8月20日より開始した「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」の提出義務化は、特定技能制度の運用における大きな転換点となります。
「とりあえず在留期間を延ばすために2号へ移行する」という曖昧な運用を防ぎ、本来の制度趣旨を厳格に適用するための措置です。なぜこのようなルール変更が行われたのかの背景と、企業や外国人材が取るべき具体的な対応策を解説します。
1. なぜ新ルールが導入されたのか(背景)
特定技能2号は、本来「長年の実務経験等により身につけた熟達した技能」を持ち、「自らの判断で高度に専門的な業務を遂行できる、または監督者として業務を統括できる水準」であることが求められる在留資格です。
しかし、これまでの運用では、「特定技能2号を取得したものの、実際の業務内容は特定技能1号や技能実習生と何ら変わらない単純作業のまま」というケースが散見されていました。
入管庁はこうした「1号の単純な延長(とりあえず2号)」としての運用を問題視し、申請段階で現場の実態を厳格に審査する方針へと舵を切りました。そのため、1号との業務内容の「明確な違い」と、現場での「指導・管理体制」を書面で宣誓させ、虚偽があれば厳しく罰する仕組みが導入されたのです。
2. 対象となる人・企業
この新ルールの対象となるのは、以下の関係者です。
- 受入れ企業(特定技能所属機関)現在特定技能2号の外国人を雇用している企業、または今後1号から2号への移行や、新規での2号人材の採用を予定しているすべての企業。
- 外国人本人(特定技能2号の候補者・取得者)特定技能2号の「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」「在留資格認定証明書交付申請」を行う外国人本人。誓約書には本人が業務内容を理解した上での署名が必要です。
3. 企業と外国人が行うべき具体的な対応策
今回の義務化により、単に「書類を埋める」だけではなく、実態としての社内体制の整備が不可欠になります。受入れ企業は、申請前に以下の対応を行う必要があります。
① 業務内容の明確な切り分け
2号外国人が担当する業務が、同じ現場にいる技能実習生や1号特定技能外国人と「どのように違うのか」を具体的に言語化し、実際にそのように働かせなければなりません。書類上は「監督者」としつつ、実態は1号と同じ作業をしているだけでは、審査を通過できず、後から発覚した場合は虚偽記載とみなされます。
② 「指導対象者」の条件確認と選定
2号外国人から指導を受ける対象者(部下やチームメンバー)の氏名や役職を誓約書に記載する必要があります。以下の条件をクリアする指導対象者が、分野ごとの必要人数(多くの分野で2名以上)在籍しているかを確認してください。
- カウントできる条件: 同一事業所に勤務し、原則同一部署に所属するフルタイムの従業員。
- カウントできない人: 異なる事業所の人、パートやアルバイト(フルタイムでない人)、すでに別の2号外国人から指導を受けている人。
③ 雇用条件や組織図との整合性確認
誓約書に記載する「役職(職長、班長、主任など)」や「指導的立場」と、実際の雇用契約書、給与規程(役職手当の有無など)、社内の組織図に矛盾がないかを確認します。現場の実態と書類の辻褄が合っていることが重要です。
④ 外国人本人との丁寧な合意形成
誓約書には外国人本人の署名が必須です。会社側が勝手に「指導的立場」として書類を作成するのではなく、本人に対して「あなたには現場のリーダーとして、これこれの業務と指導を任せる」という役割の期待を明確に伝え、合意を得るプロセスが必要です。
リスク管理の重要性
提出した誓約書と実態が異なっていた場合、外国人本人の在留資格が取り消されるだけでなく、企業側も「特定技能所属機関」としての欠格事由に該当し、会社全体の外国人材受け入れが停止されるという極めて重いペナルティが科される可能性があります。